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コラム8 『今こそ自給飼料生産・国産飼料利用の推進を図るチャンス』

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  [酪総研コラム8ー2023年5月掲載] 今こそ自給飼料生産・国産飼料利用の推進を図るチャンス   北海道では今年雪解けが早く、気温も高めで推移しており、札幌では平年と比べ2週間ほど早く桜が開花した。今年の春の訪れは早い。 すでに各地で農作業が始まり忙しい日々をおくっているものと思う。 さて、言うまでもなく、現在酪農家は、飼料・資材価格の高騰に加え乳製品過剰在庫解消のための生乳生産抑制などにより厳しい経営を余儀なくされている。今の状況を良しとせず、何かしらの対応をとっていかなければならないが、少し立ち止まって考えてみると、この状況を自給飼料生産・国産飼料利用を推進する大きなチャンスと捉えられるのではないか? 北海道の牧草生産は、 2011 年と 2022 年を比較すると、作付面積 95.3 %、収穫量 95.0 %と減少を続けている(図1)。一方、トウモロコシ生産は作付面積 122.4 %、収穫量 120.1 %と増加してきた(図2)。牧草と比べてトウモロコシは、高エネルギーで収穫量も多く自給飼料として優位で、かつ糖分が多いためサイレージ原料としても重要である。だからトウモロコシ作付けを増やしていくことは必然だろうと思う。だが、単収はその年の気象条件によって左右される部分が大きいとはいえ、牧草とトウモロコシを比べると、気象の要因を受けやすいのはトウモロコシのほうだろう。北海道各地でトウモロコシ作付けが可能になったとはいえ、冷夏や台風等の影響を受けて収穫量が大きく減少する場合もあるので、あまり頼りすぎるのは心配だ。 また、牧草単収が停滞からやや減少で推移している要因のひとつとして、草地更新率が低位停滞していることが考えられるのではないか(図3)。 草地の生産性を維持するためには定期的な草地更新や植生改善のための様々なメンテナンスが必要であり、草地生産性を維持する努力がかかせないのは周知の通りだ。手間がかかる作業なのだが、自給飼料の量と質を向上させることで確実に酪農経営は好転することを我々は実証してきた。草地の植生が改善されれば、技術指標が向上し、購入飼料費の削減等により生産コストの変動が小さくなる可能性が高く、経営の安定化・改善が期待できる。 現下の輸入飼料価格高騰による経営の厳しさを顧みて、今後の酪農の持続可能性を高めるためには、自給飼料生産・国産飼料利用